9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

会社が発行する株式の権利や内容は同一であることが原則とされていますが、平成18年に施行された会社法では種類株式という権利や内容が異なる株式を発行することができることを定めています。
権利や内容が異なる株式を「種類株式」と言います。今回は、種類株式の内容と種類株式を活用した事業承継の方法についてご紹介します。

1.株主平等の原則といって株式内容は同一であることが原則(普通株式)

会社の資金調達のひとつに、資本市場から多数の人に出資をしてもらう方法があります。
出資を仰ぐために発行されるものを「株式」と言います。株式を保有する株主には主に以下の3つの権利があります。

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

出資の対象となる株式は「株主平等の原則」があり、権利内容は同一であることが原則となります。
このように権利が平等である株式が通常の株式となり、普通株式と呼ばれます。

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

2.例外的に、普通株式と異なる内容の9つの種類株式がある

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

本来、株式は権利内容が同一であることが原則となりますが、例外的に権利内容の異なる株式を発行することも可能です。権利内容の異なる株式を「種類株式」と呼びます。

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

上記の9つの内容を組み合わせることで、多種多様な株式を発行することが出来ます。

ただし、組み合わせることが出来ないものもあるため注意が必要です。また、9の取締役・監査役の選解任権付株式は上場企業や委員会設置会社の場合には利用することが出来ません。

3.種類株式を活用した事業承継の方法

会社の重要事項などは株主総会による決議で決められていきます。そのため、円滑な事業承継を行うためには、後継者が株式の議決権の多数を保有しておく必要があります。
後継者が保有する議決権は全体の3分の2以上であることが理想的です。しかし、現経営者の資産の多くが事業承継を行う会社の株式となると、後継者以外の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性があります。

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

遺留分を超えた生前贈与や遺贈を行った場合、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求という遺留分を取り返す請求を行うことが出来ます。遺留分減殺請求により遺留分の請求をされた場合には、遺留分を超えた部分の生前贈与や遺贈は効力を失います。そうなれば、後継者が3分の2以上の議決権を保有することが難しくなります。そのため、遺留分を侵害せずに後継者が決議事項を単独で決定できるようにする必要があり、その際に、種類株式を活用します。

わかりやすいように例を用いて考えてみたいと思います。

例)
経営者Aから株式を相続する相続人は、後継者Bと後継者以外のC、Dの3名です。
経営者Aの資産は株式以外にありません。
遺留分等を考慮すると、株式が分散するため後継者Bが3分の2以上の議決権の保有することが難しくなります。
9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

3-1.議決権制限株式を活用する方法

後継者Bが議決権の3分の2以上を取得するためには、CとDが取得する株式を「議決権制限株式」とします。

議決権制限株式には、株主総会の議決権を行使することが出来ない「無議決権株式」と決議事項の一部のみ議決権を行使できる「議決権一部制限株式」がありますが、この場合には「無議決権株式」を用いることで、後継者Bが経営権を持つことが出来ます。
この際、CとDには、議決権を持たない代わりに配当優先株式や残余財産優先分配株式などを加え、金銭的な利益を得ることが出来るようにしておくことで、争いを防ぐことが出来ます。

9種類の種類株式と事業承継対策への活用方法

3-2.拒否権付株式を活用する方法

後継者Bに事業承継することを決めていても、実際に、経営権を譲るという点に不安がある場合などは、拒否権付株式を利用するという方法があります。

拒否権付株式は株主総会や取締役会などの決議事項のうち、株主総会の決議の他に種類株主総会の決議も行う必要がある株式を言います。
現経営者Aが拒否権付株式を保有することで、後継者Bが暴走をしてしまったとしてもストップをかけることが出来ます。

4.まとめ

事業承継は後継者にしっかりと自社株を引き継ぐ必要があります。株式が分散してしまうと、後継者の議決権が確保できず、事業承継がスムーズに進まなくなってしまいます。

株式の分散を防ぐためにも、種類株式をうまく活用するようにしましょう。活用方法はあくまでも一例です。
種類株式の権利内容を理解し、自社に最も適した種類株式の発行を行ないましょう。

事業承継については専門家に相談しながら早めの対策を行うようにすることをオススメします。