連絡が取れない株主(所在不明株主)がいる場合の対処方法

歴史の長い企業の場合、創業時の株主の所在が分からない、上場企業など多数の株主がいる企業で、株主の所在が分からないというケースがあります。

所在の分からない株主の株式を会社が勝手に処分することは出来るのでしょうか?
所在不明株式の売却の具体的基準等についてご紹介します。

1.株主と連絡が取れない場合には一定要件のもと売却が可能

以前は、所在不明株式を会社が勝手に売却することは出来ませんでした。しかし、株式売却制度によって一定の要件を満たす場合には、所在不明株式の処分を行うことが可能です。

連絡が取れない株主(所在不明株主)がいる場合の対処方法

上記の2つを満たしている場合には、3か月以上の異議申述期間の公告後、異議が無ければ所在不明株式の処分を行うことが出来ます。

2.所在不明株式の売却の具体的手順

所在不明の株式は上記1の条件を満たしている場合には、原則としては競売によって売却することが可能です。
原則は競売となりますが、市場価格のある株式の場合には市場価格による売却が可能です。

また、市場価格のない株式の場合には、裁判所の許可(所在不明株式の株式売却許可申立)を得て競売以外の方法による売却も可能となります。
この場合には、以下の額のいずれか高い金額による売却となります。

連絡が取れない株主(所在不明株主)がいる場合の対処方法

また、市場価格のない株式の場合には買受人がなかなか見つからないということも考えられます。
そのため、会社法では取締役会の決議によって会社がその株式を買取ることも認めています。

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2-1.所在不明株式の株式許可申立の必要書類

裁判所への所在不明株式の株式売却許可申立は株式を発行している会社が行ないます。
取締役が複数名いる場合には、取締役全員の同意が必要です。申立は本社所在地を管轄する裁判所にて行ないます。

申立に必要な書類は以下の通りです。

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申立を行う際には、申立手数料とし1,000円分の収入印紙が必要となります。決定謄本を郵送で受領する場合には、別途郵便代も必要となります。

2-2.所在不明株式の株式許可申立の注意点

所在不明株式を競売以外の方法で売却する場合には、競売以外の売却を行うための事由や5年間継続して通知を行ったけれど到達しなかったということを明確に示す必要があります。

上記必要書類の「株主総会招集通知書及び返戻封筒」「剰余金配当送金通知書及び返戻封筒」は必須となります。
取締役の陳述書等による代替書面は認められないことが多いため注意が必要です。

3.まとめ

所在不明株式のような株主の所在がわからない株式をそのままにしておくと、突然、所在不明株主が現れ、会社の重要な事項に反対する議決権の行使をされてしまうという可能性があります。
このような事が起これば、事業承継を円滑に進めることも難しくなってしまいます。

しかし、所在不明株式を整理するためには「5年間継続して通知を行っている」必要があります。
通知を行っていない場合には、早急に通知を行なう必要があります。事業継承を円滑に行うためには日頃から、会社法を意識して経営を行うことがポイントとなります。